2012/04/27

Population Studiesとは

春セメスターがもうすぐ終わろうとしています。時間が経つのは早いです。来週から期末テスト期間に入ります。私の担当教授のマーク先生が教えるPopulation Studies(人口学)の授業が来週で終了です。この週2回の授業が今学期の一番楽しい授業でした。マーク先生に会えないのは寂しいです(マーク先生はしょっちゅう私がオフィスアワーに来るから、セメスターが終わることを喜んでいるかもしれませんが・・・)。

この授業では過去から現代までどのようにDemographic Transition(人口学的遷移)がはじまったのか。死亡率、出生率の移り変わりは先進国、途上国でどのように違うのか。それに伴う社会学、経済学者が唱える理論とは。難民、移民、国内の人口の移動(Migration)がどのように健康に影響するのか(特にHIV/AIDS問題)。

またこの授業の課題ではLife Tableを一から作ってみたり、Crude Birth rates, Total fertility rates, Age specific fertility rates, Gross Reproductive rates, Net Reproductive ratesなどを国ごとに自分で計算し、比較してこの国では家族計画がすでに普及しているか、出生後の子どもの死が多いかなどを推定したりもしました。

グループワークではケニアの2033年の人口ピラミッドはどうなるのか?それにHIV/AIDSはどう左右するのか?人口は縮小するのか?HIVのPrevalence(有病率)は今後どうなるのか?Demprojというソフトウェアを使い自分でProjection Dataを作ったりもしました。

以下例のピラミッドです。左がHIVなしで右がHIVに影響を受けたピラミッド。ケニアはHIVのPrevalenceは6.3%と他のアフリカと比べ、あまり高くないので人口ピラミッドの差が大きくありません。アフリカのボツアナはHIVのPrevalence24.1%と信じられない高さです。平均寿命は38.5歳。人口が減少しています。



最近のディスカッションで一番おもしろかったのは「なぜ途上国(特にサブサハラアフリカ)では家族計画がうまくいかず出生率が下がらないのか?」という問題です。

女性の就学率の低さ、一夫多妻制、家族を重きにする文化、Wealth Flowsの浸透(子どもは一家の財産という考え。子どもはお金の稼ぎ手の一つであり、たくさん子どもがいるほうが将来親を養い一家は安定するという考え)、物価が安く子どもを育てやすい環境等、多産になる要素がたくさんあります。

でもそもそも家族計画って誰が考え出したもの?先進国の考えを無理やり押し付ける意味はあるのか?等も討論にでました。未だ家族計画の普及を試みてもアフリカの出生率はなかなか下がりません。もう多産とどのように共存していくしか考えたほうがよいのではという意見もありました。

私はRisk Mitigation(リスクの緩和)という概念が途上国にある時点で、家族計画は難しいのではないかと思ってしまいます。貧しい政府のサポートには期待できず、信頼できるのは家族の絆だけ。子どもが多ければ多いほどのちのち稼ぎになるし、将来自分が老いた時に子どもの誰かが自分を養ってくれるだろうと思わざる負えない状況が多産に拍車をかけています。

グローバルの経済でアフリカを飲みこんで、欧米の家族計画を普及されるのは簡単にはできそうにないなと思う私です(もちろん、私はこの家族計画に悲観的になっているのではなく、安全なお産、出産間隔等は必要だと思います。赤ちゃんが死ぬ時のお母さんの悲しみは、赤ちゃんが1人でも3人でも何人でも悲しいことに変わりはなく、Reproductive Healthが担う役割は大きいと思います)。



Gapminder(http://www.gapminder.org/)というWebsiteでみる世界の出生率(Y軸)と女性の就学率(X軸)の表。赤〇がアジア。青〇がアフリカです。アフリカが圧倒的に出生率が高いです。Gapminderというサイトで平均寿命、乳児死亡率等の世界の傾向を見ることができます。1970~2010までの推移等もみれます。かっこいいサイトです。

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