2011/04/22

MPHまでの道①~なぜ米国で?~

MPH(Master's degree of Public Health:公衆衛生修士号)を米国で取得しようと思いはじめたのは2008年、私がタイにいたころの話です。看護師としてメータオ・クリニックでできることに限界があるのではと思っていました。現地のスタッフのほうが熱帯医学の知識は富んでいます。
私が現地で展開していたのは院内感染予防と学校保健だったので、大きなますの目で対象をみ、実践的にアプローチする公衆衛生に興味を持ち始めていました。

クリニックやその近くで働く欧米NGOの多くの友達(米国人が多い)がMPHを取っており、彼らからMPHコースの話をよく聞いていたのもMPHを意識しはじめた理由です。

国際保健の専門家になるために、また国際機関や国際NGOで働くためにMPHを取ろう!その中でもアメリカを選択した理由は周りに米国人の友達が多かったこと、また米国に住んでみたかったことが大きな理由かもしれません。なぜ米国人は米国をナンバー1と思うか非常に興味があります。

もちろん米国以外にも大学はあります。イギリスの大学(ロンドン、リバプール、リーズなど)やタイの大学(マヒドン)などもMPHコースは有名なのですが、その多くが1年です。1年だけ勉強して果たして1年後自分が英語を操り自信をもって国際保健の舞台の上で働けるのか疑問があったこともあります。

チュレーン大学はMPHコースを通常2年で終える方がほとんどです。ハーバード、ジョンズホプキンスといった有名大学は1年。
私は2009年にチュレーン、ジョンズホプキンス、コロンビア大学の3校を受験し、チュレーン以外は落ちてしまいました。チュレーン大学の入学を1年間延期し、今年入学となった次第です。

私が思う米国MPHまでの受験で必要な3項目は以下です。

①やる気
根気が必要です。MPH受験までの長いプロセスだけで気持ちがめげそうになりました。そして今も入学準備、VISA手続などまだやることが多、く無事入学するまで本当に大変だと身に染みています。

②英語力
TOEFLを受験しなければいけません。TOEFLは海外留学生向けの英語の試験です。もう何回受験したのか数えられないくらい受験しました。おそらく15回は受験したかも。最低TOEFLの点数がIBT80点(PBT550点)以上はないと受験の話はすすめられないでしょう。

TOEFL以外にも大学院対象者用試験(米国人も)GREという英語の試験を受けなければいけません。GREはVerbal Section(語彙力、読解力), Quantitative Section(数学), Analythical Writing Section(論理的思考力をもった作文)から構成されています。これがまた2度とやりたくないくらいの難しい試験!今受験しろと言われてももうできない・・・。

③経済力
米国の授業料は半端なく高いことで有名です。教育が市場化していることが原因です。
1年目の生活費、学費を補えるか証明するために大学側が財政能力証明書の提出を求めてき、それをもってI-20(入学許可書)が発行されます。チュレーンの場合は53000(約450万円)ドルの証明書を提出しました。2年でおよそ800万円はかかるだろうと言われています。奨学金がなければこのMPHへの夢は打ち砕かれていたに違いありません。

以上3点がMPH受験までの大きなポイントだと思います。
これらをよく吟味して米国で受験することを考えたほうがよいかもしれません。

4 件のコメント:

  1. いつも楽しく拝見しております。過去の記事にコメント恐縮です。関東で精神科の医師をしている者です。MPH取得を考えており、リバプールを候補に挙げています。自分で調べたところ、university of liverpoolのMPHとliverpool school of tropical medicineのMIPHと2つのプログラムがありました。Aiko様や他の方々の言う「リバプール」がどちらを指すのか、ご教示頂ければ幸いです。何卒、よろしくお願いいたします。

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  2. さとう様、ご連絡いただきありがとうございます。私の友人はuniversity of liverpoolでMPHをlong distance learning coursesで勉強した方がいるのと、liverpool school of tropical medicineのMPHを英国で取得された方の両方がいます。どちらのコースにどのような特色があるのか存じ上げていませんが、両コースともイギリスでMPHで取得されるメジャーな場所かと思います。またご質問ありましたらお気軽にご連絡ください(私のメールはakaji@tulane.eduです)。

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  3. エコノミスト2012年12月5日 14:50

    >米国の授業料は半端なく高いことで有名です。教育が市場化していることが原>因です。
    まあ、確かに実務系の大学院ならそうでしょう。学術系ですと、生活費込みで3万ドルかからないこと(ファンディグなし)もあったりしますよ。それと、私立ロースクールだと日本でもAiko様がおっしゃるくらいかかるかも・・。

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  4. エコノミストさん、日本の私立ロースクールも高いんですね。知りませんでした。MPHを受験するまえに調べたところ、どこも公衆衛生大学院は授業料が比較的高かったような気がします。州立でも。実務系だからかもしれませんね。

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