2012/07/27

Holidays in Bangkok and Vientiane

ブログを珍しく更新していませんでしたが、実は今日の朝まで約1週間メソトから離れていました。

8月上旬から始まるサマークラスで、ケニアに行くため、ケニア大使館でビザを取らねばならず、バンコクへ出かけていたことと、自分の進路相談のためにラオスで某日本のA大学の教授にあったり、バンコクでもチュレーンの担当教授のマーク先生に会っておくことを勧められた、タイ人の教授に会ったり、チュレーン大学のタイ人の友達に会ったり、マヒドン大学で勉強している日本人の学生さんたちにあったりといろいろ移動していました。

そんなこんなであと1週間でメータオの実習が終わります。早すぎる・・・。あと10日後にはアフリカです。

バンコクでみつけた新しい発見を少し見せます。


今年5月にロータリー国際大会がバンコクでありました。その看板がいたるところに残っており、あまりにもかわいいので写真を撮りました。”Welcome Rotarians, Welcome to the Land of a thousand smiles”て書いています。微笑みの国タイランドってことかしら?


バンコクのチャオプラヤ川近くに、Asiatiqueという新しいこじゃれたナイトマーケットができていました。モーチットにあるウェークエンドマーケットがきれいになった感じです。雰囲気もありおしゃれ。

マーケットの中

川沿い。まるで横浜みたい?

2012/07/16

原点

今日、自分の原点を考えさせられる出来事がありました。

日曜日、家で英語のテストGREの勉強をしていたところ、ビルマ人の友人から電話がありました。

「近所のビルマ人が高熱を出して苦しんでいるんだけど、メータオ・クリニックは日曜で閉まっているし、見にきてくれない?」

今回のメータオ・クリニックでの滞在では患者さんは全くみていませんでした。一応持ってきた聴診器と体温計、患者さんの家に行く前に薬局に寄り、パラセトモール(アセトアミノフェン系の薬)を買い、患者さんの家に。

家は街からはずれた場所にたたずみ、竹で作られた簡素の家。床も竹ででき、いかにも床が抜けてしまいそうなおんぼろな佇まいでした。

小さな竹の家で横たわっていた30代の男性。普段は家の前の畑で農業していますが、5日間の高熱のために仕事も休み家でずっと寝込んでいたそうです。5人の家族で小さな竹の家に住む患者さん。タイIDカードは持っておらず、不法移民のためタイの病院には受診できません。

ビルマ語で久しぶりに診察をし、患者さんと話すこと数分。身体所見に明らかな異常はなく、熱は微熱で37度台。夜になると40度近くに熱が上がるとのことから、薬を渡し、改善するようでなければ、明日クリニックへ受診するように勧めました。

この患者さんの一連を通して、自分の心がもやもやしてきました。

あっ、私この気持ち忘れかけていたんじゃないかと思いました。

その気持ちは私の原点。世の中の不平等についての憤りです。

この患者さんだけでなく、この国境沿いにはたくさんのビルマからの難民、移民がいます。その多くが貧しく、竹などできた粗末な小さな家で、家族ぎゅうぎゅうになって住み、タイの警察におびえながら、低賃金で働いています。仕事を休めば首になるかもしれない。お金が入らず食べていけない。病院に行く前にタイの警察につかまるかもしれない。

街を巡回するソンテオという格安の乗合バスに乗るビルマの人々。タイのIDカードがないだけで、バスから降ろされ、タイの警察から賄賂を要求され、はたまた不法移民として強制帰還させられる。

世の中はどうして不平等なのだろう。患者さんの憂慮した顔。

何もできない自分が悔しくてたまらず、歯を食いしばった3年前。

私がなぜ国際協力の世界に飛び込んだのか振り返らせられる出来事でした。




2012/07/12

統計ソフト Epi Info

メータオ・クリニックの実習ももう残り3週間を切りました。時間がたつのはとても早いです。

今はKAP調査で集めた152名の質問票の回答をEpi Info7というソフトウェアを使い分析しています。Epi Infoは米国の疾病予防センター(CDC)のウェブサイトから無料でダウンロードできる統計ソフトウェア。あまりにもかっこよくなんでも簡単にデータが処理できるのでほれぼれしています。

Epi InfoのVisual Dashboardはこんな感じです。iPadのようです。



Confidence Interval(95%CIとか論文で見たことある人いるかもしれません)がちょちょいのちょいで出てきます。

この分析のEpi Infoをこなすまで2日間かかりました。はじめはなんでこんな時間かかる調査をし始めたのだろうと、げっそりしていました。どっかの国際機関やNGOでインターンをするという実習にしていればこんな苦労してデータ集めて、レポート書いてってしなくてもよかったのにと思ったりしました。

今メータオの実習のプリセプター(実習指導者。指導教授はもちろん大学院のマーク先生)をしているのは、メータオの長年ボランティアの米国人医師テリー先生。彼はカリフォルニア大学医学部の助教授でもあり、教えるのがとてもうまいです。MPHもカリフォルニア大学バークレーでとり、公衆衛生専門家として、カリフォルニア州立の保健省で10年以上働いていました。

彼なしに私の研究調査は達成できなかったと思います(まだ最中だけど)。

「こんな調査でへこたれていたら、博士課程には進学できないよ!」とテリー先生より喝をいただきました。

確かにごもっとも。たかが修士の調査でギャーギャー言ってはだめだなと反省するこの頃です。

分析、評価して7月末にワークショップ、結果報告会を開催し、8月はじめより3週間アフリカ(ケニア&ザンビア)です。アフリカは学校の授業と休暇です。今の調査終わらせないとアフリカには行けないわ・・・。



2012/07/08

メータオ・クリニック今後の行方

メータオ・クリニックは今後どうなるのでしょうか。ビルマ民主化にあたり、ビルマ国内に支援が向きがちな国際社会。

6月末にビルマ国内で活動する政治家(今のビルマの大統領にも近い存在)がメータオ・クリニックを訪れたことにより、ビルマ国内にメータオ・クリニックを移すように勧められたのではないかと囁かれてました。では一体実際メータオ・クリニックはどうなっていくのか。

シンシア先生曰く、「ビルマ国内にクリニックを移すことは全く考えていません。ビルマ政府が市民の健康を改善すべく活動すべきであり、人々の健康推進は元来、政府の役目です。それはメータオ・クリニックの目的ではありません。」

と、きっぱりビルマ国内へ引っ越しの可能性を否定。

私もシンシア先生の気持ちがわかります。もともとメータオ・クリニックは、1988年の民主化運動に負傷した難民を助けるための簡易診療所であり、タイ側で永久的に医療を提供することを全く目的としていませんでした。

政府が人々の健康推進の責任者です。メータオ・クリニックがビルマ国内へ移れば、クリニックが政府に代わって健康問題に続けて取り組んでいくように、政府によって自然に仕向けられているような気がします。

ビルマ政府があてる年間の国家予算全体のうち、3%のみが医療費に当てられます。政府の少ない医療費の負担により、国民は医療費の85%を自費で払っています。

日本の医療費を考えてみると、国民健康保険は3割負担。貧しいビルマの人々が85%の負担で医療費を払えるかはとても疑問です。

そのためヤンゴンやマンデレーと言った主要都市で病院にアクセスできるような人たちまでもが、わざわざ遠くからメータオ・クリニックまで足を運んでくるわけです。

でもこのままメータオがタイ側に居続けることは果たしてよいことなのか?

問題は国際社会の目。ビルマ国内に投資が向いている今、メータオに支援してくれる援助団体が急速にその支援規模を縮小し始めています。

メータオが寄付金をもらえなくなると、提供できる医療サービスも減ります。そうなると今までメータオで医療を受けていた患者さんが医療を受けられなくなります。

もしかしたらメータオの医療サービス閉鎖により、ビルマの人々の病気による死亡率、罹患率は上がるかもしれません。メータオがもし国内に入れば、国際社会から財政援助を受け、運営することで医療を受けられる人々が増えるかもしれません。本来はビルマ政府のやるべき仕事ですが・・・。


いつかメータオ・クリニック支援の会の現地スタッフが、ビルマ国内で仕事をする日もそう遠くはないのではと思ったり。

いずれにせよ今年はメータオ・クリニックにとって試練の年となりそうです。