2012/07/08

メータオ・クリニック今後の行方

メータオ・クリニックは今後どうなるのでしょうか。ビルマ民主化にあたり、ビルマ国内に支援が向きがちな国際社会。

6月末にビルマ国内で活動する政治家(今のビルマの大統領にも近い存在)がメータオ・クリニックを訪れたことにより、ビルマ国内にメータオ・クリニックを移すように勧められたのではないかと囁かれてました。では一体実際メータオ・クリニックはどうなっていくのか。

シンシア先生曰く、「ビルマ国内にクリニックを移すことは全く考えていません。ビルマ政府が市民の健康を改善すべく活動すべきであり、人々の健康推進は元来、政府の役目です。それはメータオ・クリニックの目的ではありません。」

と、きっぱりビルマ国内へ引っ越しの可能性を否定。

私もシンシア先生の気持ちがわかります。もともとメータオ・クリニックは、1988年の民主化運動に負傷した難民を助けるための簡易診療所であり、タイ側で永久的に医療を提供することを全く目的としていませんでした。

政府が人々の健康推進の責任者です。メータオ・クリニックがビルマ国内へ移れば、クリニックが政府に代わって健康問題に続けて取り組んでいくように、政府によって自然に仕向けられているような気がします。

ビルマ政府があてる年間の国家予算全体のうち、3%のみが医療費に当てられます。政府の少ない医療費の負担により、国民は医療費の85%を自費で払っています。

日本の医療費を考えてみると、国民健康保険は3割負担。貧しいビルマの人々が85%の負担で医療費を払えるかはとても疑問です。

そのためヤンゴンやマンデレーと言った主要都市で病院にアクセスできるような人たちまでもが、わざわざ遠くからメータオ・クリニックまで足を運んでくるわけです。

でもこのままメータオがタイ側に居続けることは果たしてよいことなのか?

問題は国際社会の目。ビルマ国内に投資が向いている今、メータオに支援してくれる援助団体が急速にその支援規模を縮小し始めています。

メータオが寄付金をもらえなくなると、提供できる医療サービスも減ります。そうなると今までメータオで医療を受けていた患者さんが医療を受けられなくなります。

もしかしたらメータオの医療サービス閉鎖により、ビルマの人々の病気による死亡率、罹患率は上がるかもしれません。メータオがもし国内に入れば、国際社会から財政援助を受け、運営することで医療を受けられる人々が増えるかもしれません。本来はビルマ政府のやるべき仕事ですが・・・。


いつかメータオ・クリニック支援の会の現地スタッフが、ビルマ国内で仕事をする日もそう遠くはないのではと思ったり。

いずれにせよ今年はメータオ・クリニックにとって試練の年となりそうです。


2 件のコメント:

  1. 充実した日々を過ごされている様子ですね。数日前から九州は大荒れ。連日の大雨で犠牲者も出ました。クリニック存続の話は、頭が痛い話ですね。存続できれば、人はそこにやってくるし、存続できなければ、その人々はどこか別のところを探すか、諦めるかしかできません。ただでさえ、人口流入が激しい地域なだけでに、もっとスポットライトを浴びてもいいのに、ともどかしい気持ちでいっぱいです。私自身も含め、声に出していきたいと思います。特に若い世代の人々と一緒に。応援しています。

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  2. まこさん、コメントありがとうございます!九州の大雨の様子NHKワールドでみました。洪水状態となった街をみてまるで日本とは信じられませんでした。
    クリニックの経営については今年だけでなく、さらに厳しくなっていくことだろうと思います。ビルマ国内にきちんと医療が受けられるシステムが整っていればクリニックもなくなってもよいかもしれませんが、まだまだ先は長そうです。当会のホームページに緊急支援のお願いを載せています。http://www.japanmaetao.org/report/urgentappeal.pdf
    もしご関心ある方にお伝えいただければ嬉しいです。

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