2012/06/10

院内感染の調査・結核について

調査はまだ始まっていません。こんな悠長にしていてよいものかと焦ります。今調査に使う質問票の修正が終わり、最終のビルマ語翻訳に入っています(私でなくビルマ人の知人に訳してもらっています)。

今回の訪タイ目的は卒業するための研究です。内容は結核による院内感染について。対象はメータオクリニックで働くメディカルスタッフです。

調査のきっかけは私がメータオ・クリニックで活動していた頃へさかのぼります。院内の感染予防対策(主に手洗い、マスク装着、ごみの分別など)の活動をメインにしていました。当時結核専門の病棟はなく、結核患者さんと一般患者さんは同じ病棟で衣食をともにしていました。マスクはサージカルマスクのみ。N95という結核マスクは高価なこともあってか、誰も使っていませんでした。

そんなこともあり、年間数人のメディカルスタッフが結核患者さんから、感染したであろうと思われる結核を発症し長期の治療を与儀なくされていました。おそらく一般患者さんも一緒に院内感染していた可能性がありますが、その件数は覚えていません。

2年間のクリニックでの活動を終える前に、N95マスクをメータオ・クリニック支援の会から寄付しました。また結核専用病棟を建設しようと新しいプロジェクトを当会で立ち上げ、現在は結核専用病棟に結核患者さんは入院されています。

私の次に当会派遣でメータオ・クリニックに赴任した医師より「N95マスクあまり使われてないのでは」という指摘を受け、なんでみんな使わないんだろう?と疑問に思いました。マスクが高いから?(マスク1枚につき100円くらいします)。他のスタッフもマスク使用しないから?自分を守るために私だったらマスクするけどなぁとずっと考えていました。あのN95マスクを寄付した以来、現地からマスクもっと送ってほしいとお願いを受けたことはありません。

そして現在の結核病棟の問題は、みんな結核病棟で働きたがらないということです。患者さんを見にいかない。

結核感染予防に何か阻むものがあると思い、一度みんなにどうしてマスク使わないのか、どうして結核病棟に行きたくないのか調査をしてみようと思ったのが今回の調査のはじまりです。

調査の手法としてはKAP調査を用います。Knowledge(知識), Attitudes(態度), Practices(技術)の視点から、質問票を用いて全病棟スタッフに質問票に答えてもらいます。匿名調査ですが、みんな自分たちをよく見せようと調査にバイアスがかかる可能性があるので、私も各病棟観察しにいきます。

質問内容は例えば「何があなたのN95マスク着用を妨げますか?」
a, 着用の必要性をしらなかった。
b, 高価だから使用しない。
c, 他のスタッフがしないから使用しない。
d, N95マスクは結核対策に重要でない。
などです。一応、WHOのガイドラインやすでにアフリカの国で結核のKAP調査をされた論文を読み、その調査内容をもとに質問票を作成しました。

この調査結果より、院内における感染症対策のプロトコール(手順)を作成する予定です。このプロトコールを作成するにあたっても、私の意見しか反映されないのでは意味がないので、プラニングを病棟スタッフと一緒にできればと思っています。

この春学期に学んだHelping Health Workers Learnの手法を用いてオーナーシップをメータオ側にもってもらえるようにやっていけたらと思います。

今回はこの調査だけでなく、クリニックの結核年間レポートをローカルスタッフ、米国人のボランティア医師とともに作成する予定です。ついていけるか心配だけどいい機会と思って勉強します。




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