2012/04/30

少子高齢化の日本

衝撃的な論文を2日前に読みました。"The End Of "Lowest-Low"Fertility?"というGoldstein氏が書いた論文です。日本語では「最低値中の最低の出生率の終わり?」と訳せばよいのでしょうか。

この論文を読んで、私の今後の研究は日本の少子高齢化社会について考えたほうがよいのではないかと思ってしまいました。日本の将来が心配で仕方がなくなってしまいました。論文では今までの日本の出産奨励政策が世界の失敗例であると書かれています。

実際、今日本人の女性が一生に何人の子どもを産むでしょうか?

1.39人です。(平成23年(2011)人口動態統計の年間推計より。合計特殊出生率といいます。)

65歳以上のお年寄りは国民全体の何パーセントを占めるでしょうか?

23%です。(平成22年(2010年)統計局より)

超高齢化社会に突入しています。私が看護学生で習ったときまだ17%だったのに・・・。

どこの先進国もこの合計特殊出生率(女性が一生に産む子どもの数)は減少し1.3~1.5で推移していますが日本の超高齢化社会はまれにみるスピードで高齢化が進んでいます。

こんなこと知っているわ~と皆さんは思うかもしれませんがどれだけの人がこの少子高齢化社会問題を危惧しているのでしょうか。子どもが少なければ、日本経済の活性は進まず、高齢者層を支える若者の負担が多くなります(税金、保険、勤労すべての面で)。特に戦後ベビーブームに生まれた世代がこれからどんどん老いていきます。そして世界一寿命の長い国の日本の高齢者層はますます増えていくばかりです。若者の数は増えないで。

日本のGDPが世界GDPランキングの上位国から落ちる日が近い将来来るのではと思います。

隣の中国は逆です。今Golden Ageと呼ばれるReproductive Age層(働く世代)の数が非常に多く、それが中国のGDPが飛躍的に伸びた一つの要因だと考えられています(逆に日本も高度経済成長期に入る前、合計特殊出生率は4~3.0台でした)。

その論文曰く、日本は1990年代から育児奨励政策を何度か切り出しているが、一貫性に欠ける政策、また女性の収入、教育を考慮しない全ての女性を対象にした政策、女性の職場進出を促さす、子育てと仕事の両立が難しい社会が、女性の出産を促すことができなかったと結論付けています。

私も上の文に納得してしまいます。安定しない政権、子ども手当の継続性の疑問、子育てできない職場を見れば政策がうまくいかないから子どもをみんな産みたがらないのだと思います。信じ頼れる政策、職場環境があれば出生率は少しでも改善するのではと思います。

また移民を受け入れない日本の姿勢も他の論文では批判しています。移民を受けると合計特殊出生率が上がると報告されている例があります。移民の女性(特に途上国)はその国の女性よりたくさんの子供を産む傾向が高いようです。移民の女性が日本で子どもを産めば合計特殊出生率も上がります。経済に関わる労働者の数も増えます。

また私自身海外にいて思うのですが、中国、インドからの留学生は半端なく多いです。もともとどちらの国も人口が多いので、留学する人の数が多いのはわかります。でも日本人は内向き志向なのか留学する人が本当に減少しています。実際うちの学部では日本人1人。大学院(公衆衛生以外の他の学科も含め)8人しかいません!中国、インドは100人、いや1000人以上はいます。

留学生の数はその国の国力をみせているのではと思うと同時に、留学後母国で学んだことを貢献する人が多いということも言えます。

最後に米国政府(NIC)が出したGlobal Trends 2025という報告書について話します。2025年に人口動態、健康水準、経済などを含め世界はどうなっているのか予想した報告書があります。

日本は移民の受け入れ促進と女性の社会進出を促さないと、少子高齢化社会に耐えうることができないのではということが書かれています。そしてGDPも上昇するのではなく下がり、増加はゼロに近く、そして中国、インド、ブラジル、ロシアに抜かれるかもしれませんと・・・。
*Global Trends 2025はテストが終わった後にじっくり読もうと思います。



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